リキュア銀座スタッフの長谷川でございます。
遅い年始休みに大山阿夫利神社にお参りしてきました。
神奈川にある由緒ある神社で、ケーブルカーやこま参道等色々と見どころがある神社なのでパワースポットに興味がある方は行って見られてはいかがでしょうか。

ストレスホルモン「コルチゾール」
さて前回までは皮膚の明かされていない機能についてお伝えしてきましたが、今回は皮膚もストレスを感じる事についてお伝えしていきます。
ストレスを感じると何が起きるか
人間は精神的なストレスを感じた時、脳が腎臓の上にある副腎という組織に
「コルチゾールというホルモンを作って血液に放出しろ」という指示を出します。
コルチゾールは血糖値を上げたり、炎症反応を抑えたりして、危機的な状態にある身体のエネルギー消費を抑える働きがあります。
しかしストレス状態が長く続くと、血中のコルチゾールが高い状態がずっと続き大脳の海馬と呼ばれる、記憶や学習に関与している部位にダメージを与え、それがうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こす要因にもなります。
なのでコルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれるんですね。
現代文明以前の時代、狩猟や採取によって自給自足している時代にはうつ病や精神疾患で悩んでいる人は多分いなかったと思うのですが、今と比べるとはるかに大きなストレス、外敵に襲われる等の命の危険にさらされる事が多かったはずです。
本来なら命の危険にさらされた時に身体を守るために働くホルモンのはずですが、
近代文明になってから命の危険にさらされるという事はそうそうなくなってきましたが
違う意味での長期間続くストレスにさらされる事が多くなってきました。
例えば、ノルマを達成しなければ上司に怒られるプレッシャー、組織内での人間関係、育児家事の両立等数え上げればキリがありませんね。
生活環境が昔と全く違う中で、死の危険はないがずっと続く慢性ストレス状態というのが現代日本人の有様ではないでしょうか・・
昔と今とでは身体に対するストレスのかかり方が違うんですね。コルチゾールの出っぱなしで昔にはなかった病気が出てきているのです。
コルチゾールは基本的には副腎組織で作られ放出されるというのが定説でしたが、実はこれも皮膚で作られ作用しているという事が分かってきました。
皮膚でのコルチゾール合成
武井兼太郎博士を中心にしたチームは培養皮膚を
Ⓐ高湿度条件(湿度100%)
Ⓑ乾燥条件(湿度10%)
にそれぞれ48時間おいて、培養液のコルチゾール濃度、表皮の中のコルチゾールを合成する酵素の遺伝子量の変化を調べてみました。
その結果、Ⓑ乾燥条件の培養皮膚では培養液のコルチゾール濃度、表皮の中のコルチゾールを合成する酵素の遺伝子量も大きく増えている事が確認されました。
またこの実験での乾燥条件下の培養皮膚表面をプラスチックの膜でカバーすると、それらの変化が抑えられていることも確認されたそうです。
やはり表皮も「乾燥」というストレスを受けるとコルチゾールを合成し、放出するのです。
この実験では直径2㎝の培養皮膚を使用したのですが、これが背中全体ぐらいの表面積だと仮定すると、乾燥条件下で表皮から放出されるコルチゾールの量は精神的なストレスを受けたとき、血中のコルチゾール量に変化をもたらすのと同じレベルだそうです。
臨床現場での研究でもアトピー性皮膚炎患者にも不安症やうつ病が通常より高い比率で起きていることが報告されています。
愛情ホルモン「オキシトシン」
またコルチゾール以外でもオキシトシンというホルモンも表皮ケラチノサイト(表皮を構成している細胞)でも合成されていることを傳田澄美子博士が発見しています。
オキシトシンは愛情ホルモンや信頼ホルモンとも呼ばれており、赤ちゃんがお母さんの乳首に吸いつくと、その刺激で下垂体後葉(脳の下にある組織)から放出され母乳が出たりするホルモンです。
また動物実験でオキシトシンを遺伝子操作で作動しないようにしたマウスは他のマウスに対し攻撃性が増し、また、母親マウスが子育てをしなくなったという報告もあります。
なのでオキシトシンは他人との信頼関係、社会性にも影響を及ぼすホルモンと言えるでしょう。
血中のオキシトシン量は体表への刺激によって増えるようです。
マッサージなどで気分が穏やかになるのは、そのためかもしれません。ただ、そのオキシトシンが皮膚への刺激が脳に伝わって、脳が合成したものか、表皮の刺激で表皮が合成され放出したものか、どちらもありあえるのかさらなる検証が必要なようです。
大脳の役割の一つに環境に応じて生体をよりよい状態に、ホルモンに代表される物質を合成したり、他の臓器に促したりすることが挙げられますが
表皮ケラチノサイトもストレス応答に関わるホルモンを合成し身体のホメオスタシスに貢献していることが分かってきたのです。
今後の研究でさらに未知の作用も発見される可能性もありそうですね。
次回は皮膚が意識にも関わってくる?!ことをお伝えします。
お楽しみに、長谷川でした。
参考文献:驚きの皮膚・著:傳田光洋
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